トップページへ


 木が燃える行程を考えると、木に水分があるうちは、熱しても100℃以上になりません。水分が蒸発して無くなったときに、温度が上がって100℃を超え、さらに温度が上昇して260℃に達したとき、分解してガスが発生し、口火を近づけると、火がつきます。ただしこれは、木材そのものが燃えるのではなく、木材から出ている可燃性の分解ガスに火がつくのです。含水率が高いと水分をとばすのに時間がかかるので、更に時間はかかります。
 木材は空気をいっぱい含んでいるので、熱を中に伝えにくく、しかも酸素が供給される表面からゆっくり燃えていきますから、急に強度が落ちることはありません。
天井に厚い板を使えば、火の拡大を遅くすることができ、木材をできるだけ太く厚く使うことは火災時の安全性を高めることになります。




 木材は他の材に比べて軽くて強いといわれています。たとえば、同じ荷重に耐える鋼鉄の梁と木の梁を設計するとして、両方の強さを比べてみると構造用のヒノキ材でこれと同じ荷重に耐える梁を設計するなら、鋼材の6割程度の重さで済むのです。重さ当たりでの強さを比較した場合引っ張り強さ、圧縮の強さは鉄よりも木材のほうが強いのです。木材の使用により、建物自体も軽くなります。同じ規模、基礎工事の建物を建てた場合、土地に掛かる負担も軽減され、地震に柔軟に対応し、被害を少なくする建物ができます。
こうした軽くて強い木材の性質は繊維がパイプを束ねたようなハニカム状の構造であるからです。また、木の繊維構造は断熱効果も発揮する構造となっています。

 日本の季節は雨に恵まれていることが特徴です。しかし、日本列島の地形は約70%が山地であり傾斜が急な山間地に降り注いだ雨は短期間に海まで流れ出てしまいます。このとき、水が流れ下るスピードをゆるやかにしているのが森林です。森林は、雨が海に出るまでの間で水を蓄える役割を果たしています。
 雨のほとんど地中に浸透していきます。森林では木が地中深くまで根を張り、大小さまざまな隙間があります。まるでスポンジのように、降った雨をどんどん地中にしみこませ、一部の雨水が土の表層近くをゆっくりと流れて谷川に集まります。地中に浸透した水の残りは地下深くにある滞水層に至り、地下水となって徐々に谷川にたどり着きます。
 このように、森林があると流れ出す水の量が時間差を持って調節され、雨が谷川に出て海にたどり着くまでのスピードを調整しており、「緑のダム」といわれています。この水量の調節機能は、山に降った雨がいっきに流れ出て下流で洪水が発生することを防いでいます。また生活に欠かせない水のふるさととして豊かに育まれた森林がタンクとなっているのです。


 山に降った雨水は、木の葉や枝でエネルギーを弱められたあと地表におります。そこには落ち葉など腐植土が厚く積もり、雨が土に直接触れることはほとんどありません。 このように森林は、雨の落下してくる力を弱め、地表を守るクッションの働きをしています。
 また、雨水は土砂を一緒に運びます。森林のある山を基準にすると、作物のある畑は約十倍、裸の斜面では約千倍の土砂が流れ出るといわれています。木の枝や葉が大地を立体的に覆い、土砂流出を防いでいます。同時に大きな木は、大小無数の根を地中に張り巡らせて土をしっかりつかんでいます。根が張っていることで土が崩れにくくなっているのです。急な斜面が多い日本の国土は森林により維持されているのです







 植物は光合成により二酸化炭素を吸収しています。そのため植林をしたり、植林前に伐採した木を建築資材等として有効利用できれば、二酸化炭素の排出量を減らすのに役立ちます。木が伐採され、住宅になった場合二酸化炭素を固定化していることになります。更に伐採した地に新しい木を植えることは、二酸化炭素を固定化する窓口を増やすこととなり、ひいては地球の温暖化防止にもつながっていくと考えられます。
 森林は適切な森林整備や保全により、1ha当たり約1.77tの炭素を吸収すると考えられています(第1回地球環境保全と森林に関する懇談会資料)。重量で二酸化炭素に換算すると1ha当たり1年間に6.49tの二酸化炭素を吸収することになります。ガソリン1Lで2.31kgの二酸化炭素が排出されますから(環境庁温室効果ガス排出量算定方法検討会資料)、森林1haが燃費10km/Lの自動車を28,095km運転する場合の二酸化炭素分を吸収しているわけです。